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2008.08.28 【終了】メイフィールド教養講座「中世ウェールズ幻想物語集『マビノギオン』」を読む(4)
ヨーロッパ最古の民といわれるケルト人の中で、島のケルトと呼ばれたウェールズ地方のカムリ人。彼らの言語文化の宝といわれる「マビノギオン」は、ケルト 文学の華であり、英国ファンタジー文学の源流でもあり、その神話や伝説、民話は「アーサー王物語」の原型ともいわれています。
ウェールズに通い、ウェールズ語を学び、原語から完全な形で邦訳、『マビノギオン─中世ウェールズ幻想物語集─』に結実させた、中野節子先生の講座です。
夏休み明けの今回は、「マビノーギの四つの物語」の第三話「マナウィダン」のお話です。
メイフィールド教養講座
「中世ウェールズ幻想物語集『マビノギオン』(Y MABINOGION)」を読む(4)
「スィールの息子マナウィダン」―「マビノーギの四つの物語」(3)―
講師・中野節子(大妻女子大学短期大学部教授)
日時:2008年9月26日(金) 14:30―16:00
会場:英国風ティールーム メイフィールド
東京都目黒区緑が丘2-19-10 TEL & FAX.03-57297228
会費:2,500円(茶菓代含)
お申し込み方法:会費を添え、FAXまたは店頭にてお申し込みください。
[申し込み・問い合わせ先]
メイフィールドTEL & FAX.03-5729-7228
《講師プロフィール》
中野節子●なかの・せつこ/1941年東京都生まれ。東京学芸大学学芸学部英語科卒業。同大学院修士課程英語教育学専攻修了。現在、大妻女子大学短期大学部教授。イギリス児童文学、ウェールズ文学を専攻領域とする。著書に『イギリス女流文学作家の系譜 1?5』(共著/透土社)、訳書に『マビノギオン─中世ウェールズ幻想物語集─』『物語の紡ぎ手─アリソン・アトリーの生涯』(JULA出版局)などがある。
《中野先生より今回のお話の概要》
物語の舞台は再び、南ウェールズのダヴェドの地とイングランド(スォイゲル)のいくつかの町に戻って展開されてゆきます。主人公となるのは、第1話で登場したプレデリとその母リアンノン、妻のキグヴァ、スィールの息子マナウィダンです。ここではリアンノンは、再婚して、マナウィダンの妻となっています。
ある日のこと、この二組の夫婦が、アルベルスの丘の上に座っていると…今度は1話とは異なり、大変な災難がダヴェドの地に降りかかり、この地に残されたのは彼ら4人となってしまったのです。
やがて、自給自足の生活にすっかりつかれきった4人は、イングランドの地に出かけてゆき、鞍・楯・靴を作って生計を立てることにしました。しかしながら彼らの製品があまりにも見事であったため、職人仲間の排斥をうけ、その都度穏和なマナウィダンはいさかいを避け、他の町へと移ってゆくのでした。
やがてダヴェドに戻った4人を、再度災難が襲います。突然現れたあやしい砦の中庭で、大理石の水盤に手をすいつけられ、動けなくなったプレデリとリアンノンの姿は掻き消えて、 ダヴェドに残されたのはキグヴァとマナウィダンの二人だけとなってしまったのです。はたしてプレデリ母子は無事に戻ってくるのでしょうか…
この物語の特徴は、今までになかった新しい英雄像の登場とも考えられます。マナウィダンは、すべての苦境を解決するのに、決して武力を使おうとはしません。常に忍耐と知恵で立ち向かい、難題を一つずつ解決してゆくのです。
長い戦いの末に、カムリの人々が到達した心境であったのかもしれません。

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