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2013.05.15  今月おすすめのJULAの絵本『村山籌子作品集1』


今月おすすめのJULAの絵本
村山籌子作品集1 『リボンと きつねと ゴムまりと 月』

今年の11月、村山籌子も生誕110年を迎えます。


村山籌子作品集・1[リボンと きつねと ゴムまりと 月]より

JULA出版局が、村山籌子の魅力あふれる不思議な世界に足を踏み入れたのは、1995年のことでした。同じ時期に、児童図書館研究会と練馬おはなしの会という2つの方向から、日本の児童図書館員の母とも呼ばれていた小河内芳子先生が、村山籌子作品集の出版元を探しているという情報が届いたのです。『金子みすゞ全集』の版元ということで候補にあがったものだったでしょう。

童話作家・村山籌子は、金子みすゞと同じ1903年の11  月7日、薬種問屋岡内千金丹本舗の長女として、香川県高松市に生れました。高松高女を卒業した後、当時新教育を掲げて開校したばかりの自由学園高等科に入学し、その一期生となりました。卒業後は婦人の友社に入社して編集者となっています。山口県の大津郡(今の長門市)と下関市で生涯を終えたみすゞと比べると、おてんばで活動的な女性だったのかもしれません。しかし、みすゞと同じように大正自由主義の風の沸き起こる中で思春期を送り、まっすぐに人間を、いのちを見つめていった籌子の作品は、みすゞ作品とは姿形も味わいも異なるものでありながら、その根底にみすゞと同じような強さと暖かさをを感じさせます。
みすゞが1930年26歳で短い生涯を終えたのに対し、籌子は暗い戦中を生きのび、1046年夏、戦後の復興を見ることなく42歳で亡くなりました。このくらい谷間の時代、籌子は数々の童話や童謡を書きましたが、みな明るく、暖かく、ユーモアに満ちていることに驚かされます。籌子は、笑いこそが、暗さや苦しさをはねのける希望であることを、よく知っていたのではないでしょうか。

小河内芳子先生は、籌子の作品は、日本では他に類のない、子どもたちのために失ってはならない大切な児童文学であると訴えられ、現代にこそ甦らせたいと考えておられたのでした。作品を読んでみれば、動物や野菜や台所用品などが人間のように登場するこれらの物語が、子どもの本質、人間の本質を写しながら、彼らを慈しむ暖かい愛情に包まれていることを感じることができます。小河内先生の語ってくださった「おなべと おさらと カーテン」や「しっぽを なくした ねずみさんの おはなし」などの軽妙な語り口を懐かしく思い出します。確かに籌子の童話は、声に出して読むと、語ると、なおいっそうその面白さが伝わってくるお話なのです。

村山籌子作品集は、『リボンと きつねと ゴムまりと 月』のほかに、『あめが ふってくりゃ』、『川へ おちた たまねぎさん』があります。爽やかな5月、ぜひ一読をお薦めします。


投稿者 JULA出版局 (10:04) | PermaLink
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