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2013.12.26  新刊『金子みすゞの110年』

 
2013年が暮れようとしています。
金子みすゞ生誕110年の今年、なんとか年内に『金子みすゞの110年』を発行できて、みなさまにご覧いただける形になり、ほっとしています。



この本の企画がスタートしたのが、昨年の10月頃でした。
まもなく迎える生誕110年と、2014年の全集発行30年を記念して、どのような本を作るのか。
倉庫や社内にある資料をひっくり返しながら、みすゞの生涯だけでなく、埋もれていた時代、矢崎節夫によって発見された経緯、その後の広がりまで、この110年間にみすゞについて起こったことをまとめておきたいと、段々とコンセプトが煮詰まっていきました。
ファイルを整理したり、たりないものを図書館や文学館などで捜したり、関わった方にお話をうかがったり……。ただでさえ狭い社内は、たちまち資料の山であふれんばかりとなってしまいました。


JULA出版局にある30年のみすゞ記事ファイル

そんななかで、改めて、みすゞの弟・雅輔さんが昭和6年に下関の文芸誌に書いた「金子みすゞのことども」という文章に心打たれました(『金子みすゞの110年』に収録)。文学的同志として、みすゞを嫉妬するほどに尊敬していた彼が、みすゞの死後に童謡集を出版しようとするのですが、時代がそれを許さず、果たせていないという内容。この文章から53年の時を経て、矢崎節夫の出現によって、その夢は果たされ、現在私たちがみすゞの童謡を読むことができるのだと思うと、本当に奇跡のように感じられます。みすゞは「幻の童謡詩人」と言われるまでに埋もれてしまっていたけれど、実は見えない熱い想いでずっとつながっていて、その延長上に、今の私たちがいたのですね。

この『金子みすゞの110年』では、みすゞの作品とアンデルセンについてや、「南京玉」をめぐっての背景の考察など、新たな発見も紹介し、みすゞの詩の本質に迫りたいと思いました。
また、金子みすゞの生涯を取材する過程を矢崎先生にうかがった「幻の生涯を追って」、みすゞの愛娘・ふさえさんから子ども時代のことや「南京玉」についてうかがった「母の愛を知るまでの長い道のり」など、インタビューもこれまでにないものになりました。みすゞの広がりについても、多くの方に寄稿いただいています。


矢崎先生から見せていただいた、
みすゞの生涯を取材したテープの山

ほぼ1年がかりで制作した『金子みすゞの110年』を、来年は多くの方に紹介したいと思います。
制作の過程でご協力くださいましたみなさん、本当にありがとうございました。


印刷中 美しい印刷でみすゞの自筆を味わっていただけます

そして、この本を手に取ってくださったみなさまが、みすゞの作品の魅力や、その世界の広がりに関心を深めてくださったら……。


ようやく完成

来年は『金子みすゞ全集』出版30年。
私たちはこれからも、小さな編集室から、金子みすゞの111年、112年……を見つめ続けていきたいと思います。
みなさま、どうぞよいお年をお迎えください。


JULA出版局編集部


投稿者 JULA出版局 (21:53) | PermaLink
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