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2014.07.01  7月1日は「童謡の日」です

今日、7月1日は「童謡の日」です。
JULA出版局としては、矢崎節夫先生が童謡文化賞を受賞される、喜ばしい日でもあります。

矢崎先生が小学生のときに読み、童謡詩人を志すきっかけになった童謡は、佐藤義美先生の「月の中」でした。金子みすゞと同世代の、この童謡詩人のめざした夢のバトンが、たしかに矢崎先生に手渡されていることを感じます。

ゴールデンウィークに憲法記念日、そして子どもの日に合わせて、佐藤義美童謡集『ともだちシンフォニー』から表題作「ともだちシンフォニー」を全文掲載させていただきました。
童謡集『ともだちシンフォニー』には、「月の中」のほかに、「いぬのおまわりさん」「グッバイ」「アイスクリームのうた」などなど、幼いころに出会う童謡がたくさん収録されています。
それに比べると、「ともだちシンフォニー」は、みなさんが知っているというわけではない作品かもしれません。そして、子どもにとっては難しい言葉や内容をふくんでいます。しかし「人間をしんじて、とくに、体も心もまだ新しい人間(子ども)をしんじて、童謡づくりに一度きりの生命をかけた」(あとがきより)佐藤義美先生が、戦争のない平和の世を子どもたちの手で築いてほしいと、心から願ってつくった童謡です。

言葉はただちに何かの力になるわけではないかもしれない。けれども、美しい言葉、力をもった言葉が子どもたちの心の奥底に届けば、やがて芽吹き、花ひらき、実を結ぶ日がくると信じたい。
平和への祈りをこめたこの童謡を、今一度ぜひお読みいただければ幸いです。

 




ともだちシンフォニー

丸木舟に きみがのっている

わににおそわれている
ライフル銃をもって 岸にいるぼくは
きみをうたない。
戦争!
銃弾で死んだぼくの父は
銃をうったきみの父の顔も名もしらない
ふたりのあいだに
すこしだって憎しみがあっただろうか。
ともだちになろうよ きみとぼく。

十億の人が千人の意志で戦争をさせられる
責任もなく愛情もなく
子どもを まきぞえにして
一度きりの生命をすてて
十億の人は死ぬ。
さばく!
地球の表面をおおうさばくを
森にしたり沃野にしたりする能力をすてて
生きのこる千人
マストドン(古代象)をおそれる。
ライオンでさえも集団をくんで道具をもって
殺しあわないのに――。
結核、チフス、コレラ、ペスト菌の哄笑!
ああ、この太陽系の中、
自転し、公転する地球には人と人との戦争が
いつなくなるか、
他の太陽系の中
他の地球では人と細菌の戦争も終った!
たがいに もう一つの回転を
ともにしていても――。
琴座のむこうの空間でなくてここで
琴座のま下のこの地球の上で、
ぼくはきみと握手したい。
なかよくしようよ きみとぼく。

おとなの専有物ではない地球を

おとなになっても専有しない約束、
百マイルの上空から写した地球の写真を
部屋にかかげてじぶんだけのためにも
他人のためにも地球を愛する約束。
一人分の意志を二十億あつめても
一人分の意志は一人分だけあるはずだから
細菌からでも殺されるのをよす約束、
ウラニウム235 プルトニウム239の
分裂の時間を長くする約束、
超音速の旅客機 輸送機だけはつくる
旅行の自由と安全
居住の自由と安全
すてる玉ねぎはエスキモーのために
くるみ割りはくるみを割るために
まくらは頭のためにある約束、
かいき日しょくは恐れないけれど
さると人間が親類であることはみとめて
ことばを絵画と音楽と食道に近づける約束
人類だけは信じる人類だけは信じる約束。
約束をしようよ きみとぼく。

野や森のみどり

そこには一本一本の草や木がある。
雪の純白 結晶型の多種類
セム ハム ゲルマン
アラブ アルタイ すべての人種で
地球を一つのステイツにしたい、
最後の一片のパンなら
それを全人類でわけたい。
憎しみは宇宙にちらばらせて無にしたい。

そよかぜ!

丸木舟にぼくがのっている
わににおそわれている、
ライフル銃をもって岸にいるきみも
ぼくをうたない。
ともだちなのだ きみとぼく。


投稿者 JULA出版局 (14:30) | PermaLink
この記事へのコメント

本当にそうですね!

投稿者 tosiko yamanaka 2014年07月11日 07:53
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