アリソン・アトリーとイギリス児童文学
16歳のアリソン(本名アリス・ジェーン・テイラー)
| JULAの草創期から交流のあったイギリス文学の研究者・中野節子さんの二大テーマは、児童文学作家アリソン・アトリーとウェールズ地方の神話伝説集「マビノギオン」でした。 一見関係のなさそうな二つをつなぐキーワードは、「現実をつきつめたところにしか、本当にすぐれたファンタジーは生まれてこない」という考えです。 イングランドの田舎、丘の上の農場で生まれ育ち、後年作家になってからも、自然とともに、動物とともに生きていく田舎の暮らしを描き続けた作家、アリソン・アトリー。 実生活の暗さに反比例するかのように、光を増していった彼女の想像の世界――そこには、子ども時代を過ごした田舎での風景と生活、古くから語り継がれてき た伝承の数々、そして彼女が憧れた「誰ひとり死ぬことなく、何ひとつ失われるものもない、永遠の世界」が、いきいきと描き出されていきました。 物語の背景は、アトリーが生まれ、18歳までを過ごした生家キャッスル・トップ・ファームとクロムフォードの村での日々に終始しています。日本よりもずっと早くに都市化を迎えたイギリスでは、彼女の物語は、まさに「田舎への郷愁」を込めて、多くの読者から愛されています。人々は、そこに漂う古きよき生活 に、普遍的な人間の暮らしをみているのかもしれません。 『物語の紡ぎ手 アリソン・アトリーの生涯』訳者・中野節子氏は、あとがきで「91歳に至るまで長い年月を生き、半世紀にもわたる作家生活のなかで100冊もの作品を、冷徹な観察眼と豊かな想像力を駆使して書き続けた彼女の生涯は、それ自体が、子どものもつ純粋な魂を完全に燃焼しつくした日々であった。アリソン・アトリーは、児童文学の矛盾に満ちた魅力を生き抜いた、まことに稀有な作家なのである」と評し、いまこそ、これまで日本で虫食い的に紹介されがちであったアトリーの作品が、再評価される絶好の機会であることを示唆しています。 今、イギリス発のファンタジーが、映画やアニメになって、日本でも人気を集めています。 すべてのファンタジーを愛する人たちへ! 本当にすぐれた、骨太のファンタジーの秘密を解く鍵として、JULAがお届けするラインナップをご覧ください。 |
